第2回
なぜ訪問看護のリハビリには「看護」が重要なのか
近年、国はこの違いをより明確にしようとしているように感じます。
2024年度の介護報酬改定では、訪問看護ステーションにおいて、前年度のPT・OT・STによる訪問回数が看護職員による訪問回数を上回っている場合など、一定の条件に該当すると、PT・OT・STの訪問について減算される仕組みが導入されました。
これは非常に象徴的な改定だと思います。
訪問看護ステーションは、リハビリ職だけが訪問するための事業所ではない。
あくまでも「訪問看護ステーション」であり、その中で看護師とリハビリ専門職が連携して利用者さんを支える。
国は、その本来の役割をより明確にしようとしているのではないでしょうか。
では、訪問看護のリハビリは必要ないのか?
私は、決してそうではないと思っています。
むしろ在宅生活では、看護とリハビリを完全に切り離すことが難しいケースがたくさんあります。
例えば、
「最近歩けなくなってきた」
という相談があったとします。
単純な筋力低下なのか。
薬の影響なのか。
心不全などによる体力低下なのか。
食事量が落ちているのか。
認知機能が変化しているのか。
生活環境に問題があるのか。
リハビリだけを見ていては分からないことがあります。
反対に、看護だけでも生活動作の細かな変化を捉えきれないことがあります。
だからこそ、
看護師とPT・OT・STがそれぞれの専門性を持ち寄って、利用者さんの生活全体を見る。
これこそが訪問看護ステーションからリハビリ専門職が訪問する大きな意味だと考えています。
「どちらが優れているか」ではない
訪問看護のリハビリと訪問リハビリテーション。
どちらが優れているかという話ではありません。
それぞれ制度上の役割が違います。
医師による医学的管理とリハビリテーションマネジメントを軸として、専門的なリハビリを提供する「訪問リハビリテーション」。
看護師とリハビリ専門職が連携し、病状や療養生活も含めて在宅生活を支える「訪問看護」。
大切なのは、制度の名前ではなく、
「その人が家でどのような生活をしたいのか」
だと思います。
歩けるようになりたい。
一人でトイレに行きたい。
買い物に行きたい。
家族と旅行に行きたい。
最期まで自宅で暮らしたい。
その「したい」を実現するために、看護が必要なのか、リハビリが必要なのか、あるいは両方が必要なのか。
制度からサービスを考えるのではなく、利用者さんの生活から必要なサービスを考える。
これからの在宅医療・介護には、そうした視点がますます重要になるのではないでしょうか。
第3回につづく。 吉田